こんにちは!goomee編集部です。
今回は【goomee×大手前大学 共同研究プロジェクト】の第2弾として、学生たちが企業への取材記事を執筆しました。
学生たちの研究テーマである「食品ロス」は、環境、経済、社会に深い影響を与える重要な課題です。
このテーマに取り組むため、学生たちが注目したのは、フードシェアリングサービス ※「TABETE」。
「飲食店がどのようにこのアプリを活用して食品ロスを削減しているのか?」という学生たちの疑問をきっかけに、実際にTABETEを運用している食パン専門店「神戸気質(コウベゴコロ)」さんちか店へ取材し、その取り組みや成果についてお話を伺いました。
▼共同研究の概要はこちら
https://goomee.jp/?p=3339&preview=1&_ppp=be454e07d3
- 【TABETE】
- 廃棄される可能性のある食べ物を「食べ手」にマッチングさせ、食品ロスを削減させるというフードシェアリングサービスです。
登録した飲食店や小売店などが作り過ぎたり余ったりした廃棄の可能性のある食べ物を出品、アプリ上に掲載します。
ユーザーは気に入ったメニューから食べたい物を見つけ、アプリ上で購入手続き(クレジットカード決済)を行い、お店に商品を受け取りに行く、という仕組みになっています。
TABETE – 食品ロスを削減するフードシェアリングサービス
▲今回は、神戸気質を運営する株式会社神戸珈琲で勤務されている高橋信秀様にお話を伺いました。
HP:株式会社 神戸珈琲 | 公式サイト「TABETE」から広がる人の輪
弊社のSDGs部門が廃棄削減の取り組みを調査している中で、TABETEを発見しました。
シンプルで使いやすく、神戸の有名店も利用していることから食品ロスに関心のあるお客様にも喜ばれると考え、運用を決定しました。
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私たちもTABETEがシンプルで多くの店舗に利用されていたので、今回の研究テーマに選びました。
ちなみに、TABETEはいつから運用されているのでしょうか?
TABETEを運用して約3~4年になります。
利用開始から1週間ほどで初めて購入につながり、その後は口コミで新規のお客様が増えていきました。
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予想以上に広がるのが速いですね!(驚)
TABETEを利用されるお客様はどれくらいいますか?
1日約40~50人が来店されてそのうちの10人がTABETEを利用されています。
最初はTABETEの利用者が少なかったものの、積極的に出品して活用することで廃棄削減の取り組みが利用者に広まり、購入にもつながったのだと思います。
なるほど、私たちも同じ考えです。
今回、神戸気質さんにお話を伺いたいと思った理由の一つも、その“食品ロス削減への積極的な取り組み”に大きな魅力を感じたからです。
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学生と共に歩むSDGs
TABETEを運用してから、廃棄量にはどのような変化がありましたか。
導入以降、廃棄はほとんど発生していませんね。
神戸気質は神戸に4つの店舗がありますが、その中でTABETEを取り入れているさんちか店だけはロスが発生していないんです。
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凄い・・!
さんちか店だけ廃棄が出ていないんですね…!
三宮のような都市部だからこそ買いにきやすい点もあると思うのですが、この地域は食品ロス等といったSDGsに関心のある若い世代の利用者が多い印象です。
実際に学生からTABETEの出品理由を尋ねられることもあり、SDGsへの意識の高さを感じます。
こうした意識の広がりが、廃棄の少なさにつながっているのではないでしょうか。
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SDGsに関心のある若い世代の利用が目立つのは興味深いですね。
その中でも特に、学生の意識が高い傾向があると感じられるでしょうか?
SDGsや環境問題に関する情報はよく勉強されていると感じます。
廃棄物問題に関する最新の取り組みは大人よりも学生たちの方が詳しいことも多く、大人が学ばされることも多いですね(笑)
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私も「TABETE」のことを学生から教えてもらって、彼らの勉強熱心さに本当に感心しました。
大人が学ばされるような瞬間があるのは面白いですね(笑)。
ちなみに御社では学生と一緒に何かプロジェクトに取り組まれているとお聞きしましたが、どんな取り組みをされているのでしょうか?
学生たちと弊社のフェアトレード運営チームが中心となり、東京の大学や専門機関と連携してフェアトレード活動に取り組んでいます。
具体的には、自社のフェアトレード認証を受けたコーヒーを提供し、神戸市内の小学校で消費者教育の教材として活用してもらっています。
また、フェアトレードの認知を広めるために、学生たちと共に毎年「アースデイ神戸」にも参加しています。
こうした活動を通じて、学生からSDGsについて学ぶ機会も多いですね。
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そうだったんですね!!
SDGsの観点からも意義深い活動です!
コーヒーがエコな資源に!?神戸気質の挑戦
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TABETE以外で食品ロスに関する取り組みはありますか?
※kuradashiや※ロスゼロといったフードシェアリングサービスを主に利用しています。
お客様の中には価格が安いことを重視する方や、食品ロスに対する意識が高い方などさまざまな理由で利用されていますが、私たちとしては食品ロスを減らせることにとても感謝しています。
- 【kuradashi】
- 食品ロス削減を目的としたオンラインショッピングサービスです。
賞味期限が迫った食品やパッケージに傷がある商品を、通常価格より30~80%割引で購入でき、購入金額の一部は社会貢献活動に寄付されるため、環境保護にもつながるお得な買い物が楽しめるプラットフォームです。
おトクな買い物でフードロス・食品ロス削減|Kuradashi(クラダシ) - 【ロスゼロ】
- ロスゼロは、食品ロス削減を目指したフードシェアリングプラットフォームです。
賞味期限が近い商品や、包装に難がある食品を割引価格で提供、企業の廃棄リスクを軽減しつつ、消費者がお得に食品を購入できる仕組みを実現し、食品ロス削減と持続可能な社会づくりを目指すサービスです。
食品ロス・フードロスをゼロへ|【通販】 ロスゼロ公式オンラインショップ
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TABETEの他にもそのようなサイトがあったとは….!!私達も調べてみようと思います。
多様なお客様のニーズに対応しながら食品ロス削減を実現している姿勢は、本当に柔軟性と工夫が感じられますね。
ちなみに、出品に関すること以外で何か環境配慮への取り組み等があればお聞かせください。
現在、自社では炭焙煎のコーヒー豆を製造する際に、プラスチックやガラスなどの廃棄物を炭に変換し、その炭を焙煎の熱源として活用する仕組みを検討しています。
さらに、余ってしまったコーヒーも炭として再利用するアイデアもあります。
この仕組みが実現すれば持続可能な社会の実現にもつながると考えていますので将来的に実現できるよう試行錯誤を重ねています。
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素晴らしい取り組みですね!
コーヒーの再利用を通じて環境に優しいだけでなく、食品ロス削減にも貢献している点がとても印象的です。
今のお話を聞いて神戸気質さんがSDGsに対して前向きに向き合っていることが伝わりました。
食品ロス削減達成!!次なる目標は?
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食品ロス削減に悩む飲食店に、どのようなアドバイスをしたいですか?
TABETEの導入を通じて、私たちのような中小零細企業も地域で食品ロス削減に貢献できることを広めていきたいと考えています。
私たちの強みであるフットワークの軽さを活かして迅速に導入し、廃棄削減に成功した実績がありますので廃棄に悩む飲食店の方々には、ぜひTABETEを活用することをおすすめします。
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私たちも神戸気質さんのように、廃棄を少しでも減らそうという考えを持つ企業が増えていくことを願っています。
最後にお伺いしたいのですが、食品ロス削減以外のことで意識していることや課題があれば教えていただけますか?
従業員がいるからこそ成り立つ仕事ですので、彼らが働きやすい環境を整えることが大切です。
飲食業界では食品ロスを減らし、少しでも利益を上げて従業員に還元することが、すべての労働条件に影響を与えると考えています。
そのため、従業員がストレスなく快適に働ける環境をつくることが私たちの重要な課題です。
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食品ロス削減の取り組みだけでなく、従業員がストレスなく快適に働ける環境を課題として認識し、取り組まれている姿勢に神戸気質さんの思いやりが感じられました。
本日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました。
取材を終えて~学生たちの感想
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取材以前はSDGsについても食品ロスについても知らないことがほとんどでしたが、取材を通して学ぶことがたくさんあったと感じています。
今回の記事は企業のSDGsへの取り組みについて私達(学生)の「いいな」と思ったところを伝えることを目標にしているので、少しでも多くの人に記事を読んでもらい、TABETEの存在や神戸気質の取り組みについて知ってもらう機会になればいいなと思っています。
売り上げを上げる為にTABETEを運用する企業ではなく、神戸気質さんのように廃棄を少しでも減らそうという考えを持った企業が増えてほしいと思いました。
食品ロスにはたくさんの問題が関連していますが、まだまだ意識が高い人は少ないように思います。
私たちが書いた記事が、少しでも多くの人の取り組みにつながれば嬉しいです。
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神戸気質さんが食品ロスやフードロスに真摯に取り組んでいる姿勢や、実際にどのような方法でそれを解決しようと努力しているのかについて、具体的な取り組みを詳しく知ることができました。
今回の取材をきっかけに、自分がTABETEを利用する際の視点にも変化が生まれそうです。
神戸気質さんの廃棄削減に取り組む姿勢に共感したお客さんたちがその取り組みを支える形で参加し、結果として食品ロス削減に繋がっている点が非常に印象的でした。
こうした前向きな取り組みがさらに広がり、多くの人が食品ロス問題に共感し、アクションを起こすきっかけになってほしいです。
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学生たちにとって初めての取材でしたが、皆さんが積極的に質問をし、企業の取り組みに対して自分なりの意見をしっかりと表現していたことが印象的でした。
特に、TABETEの導入によって食品ロスを削減するだけではなく、その取り組みが新たな顧客を生み、社会全体に良い影響を与えるサイクルを生み出している点が、学生たちにとって非常に興味深い発見だったようです。
神戸気質さんが実践しているフェアトレード活動や、環境に配慮した炭焙煎コーヒー豆の製造に関する取り組みなどは、企業として環境保護と社会貢献を両立させる姿勢がとても強く感じられました。
高橋さんお忙しい中、取材にご協力いただきありがとうございました。