「自分自身」というサステナビリティ


みなさんこんにちは、goomee編集部です。
今回は、IT支援とサステナブルなアパレル事業を両輪で進める合同会社エフィシスさんを取材しました。
企業のDX/HRテック領域を中心とした業務最適化・開発支援を行う会社が、アパレル業界の過剰在庫問題に取り組み始めたワケとは一体…?
人事DX(HRDX)とHRテックを組み合わせた言葉で、人事業務全般にデジタル技術を取り入れて、業務の効率化だけでなく、データ分析に基づく個人や組織の変革、企業文化の浸透を目指す取り組みを指します。

| 合同会社エフィシスは、企業のDX・HRテック領域を中心とした業務最適化・開発支援(IT事業)と、アパレル業界の過剰在庫品の販売を行う店舗「SDGsなお店Mottainai」の運営を行う2事業を展開しています。SDGsなお店Mottainaiは阪神尼崎地区(東難波)から武庫元町へ移転し、心機一転での再スタート。地域とのつながりを強めつつ、発信・運営をさらに強化していきます。 Instagram:https://www.instagram.com/sdgsmottainai?igsh=Y2g2YWx2NGlqODh2 |
――まずは事業内容について教えていただけますか?
事業内容としては大きく分けて二つあります。
ひとつはIT事業です。
企業のDXやHRテックの領域で、業務を最適化(効率化)する支援を行っています。

そして、もうひとつがアパレル業界の過剰在庫を販売する「SDGsなお店Mottainai」の運営です。
近年のファストファッションの普及以降、アパレル業界では“新品のまま廃棄される商品”が急増しました。
そんな現状への疑問、大手重工業会社での技術研究員として勤務していた時の思いがよみがえり、「自分にできることはないか」と考えた結果、この事業を開始することになりました。
――「IT」と「アパレル業界の過剰在庫品の販売」というと、少し意外な組み合わせですね。
一見バラバラですが、どちらも“無駄をなくす仕組みづくり”という点で共通しているのかな?と。
ITでは人的資源(Human Resources)の有効活用や業務の効率化。
「SDGsなお店Mottainai」では資源有効活用。
そういう意味で根っこの部分は同じだと思っています。

――アパレル業界の過剰在庫品を販売する「SDGsなお店Mottainai」について、もう少し詳しく教えてください。
先ほども触れましたが、アパレル業界では必ず売り切れなかった商品(過剰在庫)が出てしまいます。
決算時期における在庫処理や、販売の見切り(諦め)、季節ごとの商品入れ替えのため倉庫を空けるために捨てられる新品も多いです。
私は以前、大手重工業会社にてゴミ焼却により発生する環境有害物質(ダイオキシン類)の安全かつ効率的な分解手法の研究に携わっていたのですが、その当時から「作られたものが使われずに燃やされる現状はおかしい。」と強く感じていました。
本来であれば、製造の段階(製造計画)から見直すことが求められると思うのですが「私にできることはなにか」を考えたときに、「過剰在庫が燃やされる前に、消費者の手元に届ける」ということができるのではないかと考えたのです。
また、昨今のSDGsの機運の高まりもあり、その17の目標(テーマ)の中の
| 9:産業と技術革新の基盤をつくろう 12:つくる責任 つかう責任 13:気候変動に具体的な対策を |
という、私たちが取り組むべき課題を見出すことが出来ました。
これが「SDGsなお店 Mottainai」が誕生した由来です。

――まさに日本語の「もったいない」を事業で体現されているのですね。
そのとおりです。
そしてこれはこだわりになるのですが、私たちはネット販売(EC)をあえてしていません。
ネットで販売すれば、より多くの人の手に届けられるかもしれませんが、ネット販売は返品や再配送のリスクを抱えているのです。
それはトラック配送による予期しない(無駄な)CO₂を排出したり、梱包資材の無駄を発生させてしまったり…。
「服は実際に触れて納得してもらいたい」という思いもあって“地域で販売された商品を地域で使う”小さな循環を大切にしています。
――素晴らしいです!効率ではなく「納得できる消費体験」を重視されているように感じました。
地域に密着することで起こった反応として、お客様が購入した服を着用して「これこの前買ったやつやねんけど見て~」という具合に、再度来店されることもあります。
そこにはお店とお客様とのコミュニケーションがあって、ネット通販では得られない地域の人との深いつながりや価値を感じます。
「気軽に立ち寄れる」とか、「話ができる」とか、お店を介したコミュニケーションを大切にしているのですが、それが私たちの店の魅力だと思っています。
――SDGsなお店Mottainaiは単なるリユースショップではなく、地域のコミュニティとしての役割も果たしているのですね!

――続いて、お店作りや会社経営の上で「働きやすさ」について意識していることなどがあればお聞きしたいです。
働きやすさでいうと、徹底的に働きやすい職場環境を目指しています。
たとえば、店舗の運営は女性スタッフがメインなのですが、営業時間を家庭との両立をしやすいように調整したりなどですね。
また、スタッフの感性を発揮できるよう、現場に大きな裁量を与えています。
品出しやディスプレイも「自分たちで考えて動ける」ようにしていて、この自由度とすぐに動き出せるスピード感と柔軟さが、働きやすさにつながっていると思います。
IT事業でHR(人事労務)テックの分野で大手企業にコンサルティングを行う立場でもあり、その業務の中で「理想的な働き方」を訴求しています。
そのIT業務の中で得た知見を現場に反映させているようなイメージですね。
――最後に、これから事業を通じてどんな世の中をつくっていきたいと考えていますか?
SDGsなお店Mottainaiを通してやりたいこととしては、今よりもっとモノを大切にする価値観を広めたいと思っています。
一つのものを大事に使い続けていく感覚って素敵だと思うのです。
あとは地域循環、そこにいる人たちがつながりを実感しながら、気持ちよく過ごせる場所にしていけたらいいなと考えています。
「SDGsなお店Mottainai」から派生して、環境分野以外の社会課題の解決(SDGs)に挑戦していきます。

