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八芳園リニューアルに見る「減築」と「継承」──サステナブル建築の未来

みなさんこんにちは、goomee編集部です。
今回は大規模リニューアルをした白金台の名園、株式会社八芳園(以下「八芳園」)を取材しました。

八芳園は、東京都港区・白金台に位置する約1万坪の日本庭園を有する複合施設であり、400年の庭園と80年のホスピタリティが息づく場所で「東京4大式場」の一角としても知られています。
1947年の創業以来、「四方八方どこを見ても美しい園」という名の通り、結婚式や宴会、企業イベントの場として愛されてきました。
しかし、時代の変化とともにその役割は年々拡大しています。
今回のリニューアルで、自然と調和しながら次世代へ受け継ぐサステナブルな建築へと生まれ変わった様子をご紹介させていただきます。

八芳園サイト:https://happo-en.com/

壊さず、活かし、未来へつなぐ。

この度のリニューアルテーマは「既存建物を次世代へとつなげる改修」です。
約8か月の全館、一時休館を経て「減築」や「ZEB Oriented ※」などの環境配慮型改修を通して、自然・文化・社会を循環させる新しい建築モデルが誕生しました。

※ ZEB Orientedとは、延床面積が10,000㎡以上の大規模建築物を対象とした「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の認証基準の一つで、一次エネルギー消費量を30〜40%以上削減した建物に与えられます。
参考元:https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/01.html

「リニューアル期間中は何をしていたんだろう?」こう思ったのは私だけじゃないと思います。
実際に質問してみたところ、VRを使用し式場の規模感や入場の雰囲気など細部までお見せすることで、予約を受け付けていたというお話をお聞きしました。
また、私もVR体験をさせていただきましたが、遠方などで実際に何回も足を運ぶのが難しい方などにも想像しやすいよう、シミュレーションまでご用意されていて、様々な配慮の形に驚きました。

減築という発想──「壊さない建築」で環境負荷を最小限に

今回の改修プロジェクトの最大の特徴は「減築」です。
減築とは、建物の床面積を減らすリフォーム・改築のことで、既存構造を活かしながら不要部分を削ることで、CO₂排出や廃材を大幅に削減しました。

「私たちは“建て替える”のではなく、“つなぐ”ことを選びました。
建物に宿る時間を活かし、未来へ渡す。これが八芳園の新しい挑戦です。」

—— 八芳園ホスピタリティ・マネジメント代表取締役社長・井上義則氏

減築後の建物は、省エネルギー基準「ZEB Oriented」認証取得を目指し、空調・照明・断熱性能を強化されました。
歴史建築の風格を残しながら、最新の環境性能を備える「時を超える建築」として再生されていくでしょう。

自然と一体化する空間──“庭園を建築に迎え入れる”デザイン

新設された挙式会場「Celebration Hall – The GARDEN –」は、まさに“庭園と建築の融合”を体現する空間でした。
全面ガラスの壁越しに見える水盤、天井から差し込む光、風が通り抜ける設計、まるで自然の中に身を置くような開放感がありましたし、雨の日もきっと幻想的な景色になるだろうなぁ~と感じました。

「水・光・風・緑が建物の中を巡る。
建築そのものが庭園の一部になるという思想を形にしました。」

—— 安井建築設計事務所 チーフアーキテクト

この“内と外の境界をなくす”デザインは、環境心理学的にも人の幸福感を高めると言われており「自然とともにある暮らし」を建築で表現しているそうです。

地域とともに循環する八芳園──食・人・資源のサステナビリティ

八芳園のサステナビリティは、建物の構造だけにとどまりません。
運営やサービスのあらゆる場面で「循環する仕組み」を取り入れています。

・茶殻を再利用したリサイクル紙製品

・植物由来素材のストロー・容器

・イベント装飾に廃材を再利用

・地域農家と協働した食材開発・未利用果実のアップサイクル

「建物も、食も、人の関係も。
すべてが循環し、つながっていく形を大切にしています。」

—— 八芳園 総支配人・山口誠司氏

さらに、ブライダルだけでなく、国際会議・企業イベント(MICE)対応施設としての機能も拡充。
地域・企業・自然が共生する“社会的サステナビリティ”を体現しているといえるでしょう。

職人技と現代デザインの融合──「継承と創造」の美学

実際に足を運び見て回った館内各所には、伝統工芸とアートが息づいていました。
ロビーには水墨画家・小林東雲氏 × 組子職人・木下正人氏によるコラボレーション作品が設置され、静謐でありながら力強い空間を演出しており、木材には国産材を使用し、循環型林業の支援にもつなげている。
職人の手仕事を“未来の建築資産”として活かす姿勢は、まさに「継承と創造」の哲学そのものだと感じました。

水墨画家・小林東雲氏

組子職人・木下正人氏

八芳園が描く「次の100年」──サステナブル建築の新しい指標に

八芳園は“サステナブル建築の象徴的存在”へと進化しつつあります。
環境・文化・地域の3軸を横断的に結びつけるこのプロジェクトは、他の歴史建築や観光施設にとっても大きな指針となるでしょう。

「庭園の木々が四季を巡るように、建築もまた生き続ける存在でありたい。
その思いを、次の100年へとつないでいきます。」

—— 八芳園プロジェクトチーム

最後に

私の個人的感想で締めくくりたいと思います。
実は、結婚式場を探していた際に八芳園に見学に行ったことがあったので、今回取材という形でお伺いできたのが大変嬉しく思いました。
リニューアル前も素敵な場所でしたが、更にバージョンアップされており、八芳園の【気合い】を感じました

また、リニューアルとは別のお話なのですが、八芳園は東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)と「共創パートナーシップ協定」を締結し、JR東日本の「高輪ゲートウェイ駅」のある白金・高輪エリアにおける観光推進・エリア価値向上に資する取り組みに力をいれて進めていくとのことでした。

憧れの結婚式場として知られている八芳園が地域の為に子供達も参加できるようなイベントを企画してくださったり、地域を大事にされているからこそ、ここまで愛される施設なのだろうなと感じました。

是非機会がありましたらリニューアルした八芳園に足を運び、贅沢なひとときを過ごされてみてください。

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