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「傾聴」でつくる「はたらきやすい会社」とは…?長く活躍できる会社のヒミツ。

アルバイトやパート従業員を含め、入社した人が長く活躍できる会社には一体どんな秘密があるのでしょうか。

人材確保や人材の定着に課題を感じられている企業が多い中で、入職者が長く活躍できる環境づくりを継続して行っている日成化学鍍金工業株式会社の中島 秀和社長にお話をお伺いしました。

日成化学鍍金工業株式会社 中島 秀和 社長

日成化学鍍金工業株式会社は兵庫県尼崎市にてメッキ加工業を営む。
1951年に日本化学研磨研究所として設立。その後改称を重ね1970 年に日成化学鍍金工業株式会社となる。2015年5月にはベトナム南部ドンナイ省ロンドゥック工業団地に現地法人を設立した。今回インタビューにご協力いただいた中島 秀和 社長は2代目とのこと。
営業品目として、国内では硬質クロム、ニッケル、黒クロム、無電解ニッケル、ハンダ。
ベトナムでは亜鉛、ニッケルクロムを扱っている。
今後はニーズに合わせ新商品開発や特殊めっきなどにも対応していきたいとの意気込みを伺うことができた。

HP:https://www.nissei-mp.co.jp/

―早速ですが、中島社長の思う「自社の良いところ」についてお聞かせください

アルバイトやパートの方を含めて、入社された人たちが長く働いてくれていることですかね…
離職する人が少ないと思います。

―離職者が少ないことについて、なにか特別な取り組みをされているんですか?

特別なことをしているわけではないと思うのですが、従業員としっかりコミュニケーションをとるようにしています。
出来るだけ現場に顔をだして声掛けをしたり、年に2回程度私と従業員で面談を行って仕事のことやプライベートのことも含めてしっかり話をする機会を設けていますね。
なるべく頻繁にコミュニケーションをとるようにすることで、なにか困っていることや要望があれば対応するようにしています。

―面談を始めたきっかけのようなものがあったのでしょうか?

そうですね…私はこの会社の2代目になるのですが、先代は面談のようなことは全くしていませんでした。
ある時私が後継ぎをして、その3年後くらいに工場長が辞めてしまったんです。
その辞めた理由というのが、当時業績が落ち込んでいたということもあって、そこに工場長が責任を感じてしまったんですね。
その時に「今まで経営側と従業員のコミュニケーションが取れていなかったな」と感じて、年に2回くらいは1対1でしっかり話をする機会をつくろうと考えました。
悩んでいる段階で話を聞くことができれば「ここを変えていこう」という形で動くことができますし、こちらがしっかりと悩みや困りごとを理解する機会をつくることで「ある時急に辞めてしまう」というようなことがなくなったように思います。

―仕事だけではなくプライベートの相談まで乗られているのですね…すごいです!
プライベートなことでいうとどのような相談をされるのでしょうか?

うちの会社で働いてくれている女性は主婦の方が多いのですが、子どもの相談とかですね。
「教育のことで困っている」とか家庭内での困りごとの話が多いと思います。
それに対して自分の経験の中から力になれそうなことがあれば面談時に話したりしていて、家族の心配であったり介護のこととかで相談があったりもしますね。

―従業員の方たちからすると今の状況を知ってもらえたり、それに対して社長から親身なアドバイスをしてもらえるというのはとても心強いと思います面談を始めてから社内の雰囲気は変わりましたか?

面談を始める以前は急に「辞めます」ということがありましたが、最近はそういうものがなくなりました
他には介護や子育てなどの事情で急に帰らないといけないという場面もあったりすると思いますが、基本的には「家庭を大事にする」という形が現場サイドで出来上がっているので子どもの行事の時などは優先して休んでもらったりしています。
悩みを打ち明けて、その悩みがすこし晴れたりすることもあるようで、そういうときには 従業員の表情が明るくなったりする場面を見れたりします。

―主婦の方やご家族がいる方からすると、家庭を優先できる環境は本当に助かると思います。
また従業員とのコミュニケーションについて、若い方の意見を積極的に取り入れられているというお話をお伺いしました。

うちの会社では隔週土曜日に勉強会をしているのですが、その際に「改善発表会」というものをしています。
各々の現場で「こんな改善活動をしています」というような発表の場を設けて意見交換をするんです。
例えばモノの置き方ひとつにしても一目でわかりやすく明示して、どこに何があるかをわかりやすくする工夫など「働きやすくするためにどうすればいいか」というようなことを話し合います。
小さなことかもしれませんが、そんな工夫によって物を探す手間や時間が省けたりするので単純に作業の効率化につながったりします。

他には不良(割れや破れなどの破損、部品等の欠損があるもの)について、基準がわかりにくいので誰が見てもわかるように写真で張り出して全員が同じ基準で理解できるような仕組みを作ったりしています。
過去には「不良のままお客様のところに届いてしまった」ということもあったのですが、全員が理解できる基準ができたことによって不良を減らすことができました。

改善発表会に参加してくれている人の中には25歳、26歳くらいの人もいて、若いとかは関係なくいい発表をしてくれたりするので「おおっ!」と感じるときもあって、年齢問わずいい意見はどんどん取り入れるようにしています。

―若い従業員の方からすると自分の意見が採用されて働く環境が出来上がっていくのはすごくやりがいにつながりそうです…!その他コミュニケーションのこと以外でも、従業員の働く環境づくりについてなにか取り組まれたことはありますか?

働く環境づくりで取り組んだことで言うと、女性社員が働きやすいように設備をやり替えたことですかね。
うちの建物ができたのが昭和53年なんですが、設備のやり替えをするまではトイレが男女共用だったんです。
当時から「女性従業員をこれから増やしていこうと思ったら環境を整えていかないといけないな」という想いがありました。
女性の方がうちの会社で働こうと思ってくれてもそこを分けないと、トイレが原因で定着しにくいんじゃないかなということを感じていたので、兵庫県の助成金を活用してトイレを男女で分けて綺麗に整えたんです。
これについては女性従業員からもしっかり評価をしていただけました(笑)

―設備をやり替えたことによって、女性従業員の定着という部分に変化は感じられましたか?

男女割合でいうと基本的には男性の方が高いんですが、当時に比べると女性の比率は上がっていますね。
それまではトイレへ行くにも気を使っているような状態だったようですが、そこについての気遣いはなくなったという声をきいているので、女性従業員の定着にも一役買ってくれているのではないかな、と感じています。

―お答えいただきありがとうございます。
少し質問が変わるのですが、御社にはベトナム工場があるとお伺いしました。ベトナム工場での働く環境づくりについて意識されていることなどはありますか?

ベトナムの方とお仕事をする上で日本とは「仕事に対する感覚が違うな」ということをよく感じています。
ベトナムでは「少しでも待遇の良いところがあればどんどん移り変わる」ような仕事観を持っているようです。
なので会社のためによく働いてくれる人たちに「長く働いてもらうためにはどうすればいいか」という部分は意識するようにしています。
例えばベトナム工場でマネージャーをしてくれている方がいるんですが、日本語が話せたり、かつて日本で実習生として働いてくれていた時期もあるので日本的な思考みたいなものを現地の方よりも理解してくれています。
能力も非常に高くて、よく働いてくれている方なので、その方がいてくれるおかげでベトナム工場には一人も日本人がいない状態で運営することができているんです。

―日本人が一人もいない状態で運営が成り立っているのは凄いですね!いわば「キーマン」のような方なのでしょうか?

まさにその通りです。
本当にその方に抜けられてしまうと回らなくなってしまうほどの重要な方です。

その方は男性ですごく健康志向の方なのですが、日本の納豆が好きなようで私が毎月ベトナムに行っては必ず日本の納豆を差し入れるようにしています。
ベトナムでは納豆が高くて日本の4倍くらいの値段がするので、少しでもその方が喜んでくれるようなものをお土産として持って行ってモチベーションにしてもらえるようにしています。

普段からよく働いてくれている方には感謝の気持ちも大きいですし、好きなものを聞いて少しでもその方に喜んでもらえるようなものを差し入れたり、そういう面でのケアは意識的にするようにしています。
もちろん他の従業員の方もよく働いてくれていますが、ベトナム工場についてはその二人が特に印象的でとてもよく働いてくれていると思います。

―好みの調査と差し入れまでされているんですね…!すごくコミュニケーションを大事にされていることが伝わりました!
最後に中島社長ご自身が思われる「いい会社だなぁ」と思う部分と「こんな会社にしていきたい」という理想像などがありましたらお聞かせください。

正直なところ、自分の会社が「いい会社だなぁ」とは思えていないんです。
まだ「良くしていかないといけないな」と思う部分があるので、まだまだこれからだなと思っています。

私たちは製造業で従業員の方たちには暑い中で作業に取り組んでもらっていますし、従業員の働く環境というのはもっと良くしていきたいなと思いますね。
会社としても付加価値のある仕事をもっと獲得していきたいと感じています。
付加価値のある仕事が増えればその分利益を上げやすくなります。
そうすることによって従業員の方に還元することもできるようになるのでもうちょっと利益率をあげられるようにしていきたいですね。

あと理想像で言いますと「物心両面で満足度が高い会社」にしたいと思っています。
働いている人はやはり給料をもらうために働いていると思います。
お金の面で皆さんに還元できる部分が多くなればその分満足度は上がると思いますし「会社の業績に

合わせて」にはなるのですがなるべく従業員の人たちが満足できるように、少しでも多く還元していきたいと考えています。

◆編集の声◆

goomee編集:中村

感じたのは従業員の方々に対するコミュニケーションの丁寧さですね!

中島社長の取り組みがまっすぐ従業員の方に伝わっているというか…

普段から従業員とのコミュニケーションを大切にされているんだな、と感じました。

goomee編集:大久保

この後従業員の方にもお話を聞かせてもらいましたけど「よく相談に乗ってもらっている」という風に話されてましたもんね…!

働く人の事情に寄り添って働きやすい環境をつくろうとしている様子がすごく伝わりましたよね。

僕はベトナムの方へのお土産が印象的でした!

goomee編集:中村

納豆やお茶の差し入れですよね!

食べ物の好みとか話す機会はあっても、僕の場合あんまり覚えてないかもです(笑)

goomee編集:大久保

僕もそうですね(笑)

ただ覚えてもらっている側からすると嬉しいですし、「人と人の付き合い」みたいなものが感じられますよね。

「あ、こんなところまで覚えてくれているんだ」とか「自分の喜ぶことをしようとしてくれている」というような気持ちが嬉しいと思います。

普段からしっかりコミュニケーションをとられているという部分もそうですが、その情報を活かすところが素敵だなと思いました。

goomee編集:中村

僕も見習いたいと思います…(笑)

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